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有限会社柏彌紙店

KASHIWAYA Co., Ltd.

200年の歴史に込められた技と心 低炭素社会の未来を紡ぐ和紙文化

有限会社柏彌紙店は、文政7年(1824年)に創業して以来、八代に亘り、住空間・建築の内装材としての和紙を中心に、日本古来よりの和紙文化の伝統を大切にしながら商いを続けてまいりました。
和紙の持つ機能性や自然との関わり方は、現代の豊かさを持続可能なものにし、未来に紡いでいくための糸口を感じるものと信じています。伝統と新しい技術との融合にも積極的に取り組み、環境への貢献を深めてまいります。


伝統と革新の職人技による、高付加価値の提供 柏彌紙店は、和紙文化を伝達しながら技術を磨き続ける、卓抜した表具師とのネットワークを有しています。
当社選りすぐりの和紙を、職人が驚くほどに綺麗で、優れた表具に仕上げていきます。お客様の満足のため、職人と揺るぎない信頼を築き、高品質を提供し続けてまいります。

和紙のエキスパートとしての役割 柏彌紙店では、江戸期から日本各地の漉き元とのつながりを大切に、卸問屋としての役割を担ってまいりました。それ故に、お客様のご要望を正確にキャッチアップし、高品質でありながらコストを抑えた商品をスピーディーに提案することができます。
当社のからかみのショールームでは、襖に関する和紙や、日本各地域の多様性を纏う加飾和紙をご覧いただくことも可能です。また、和紙の特徴を最大限に活かし、光が空間に溶け込むようなスタンドライトなど、オリジナル商品の開発も行っております。

日本家屋から重要文化財までを手掛ける力 柏彌紙店では、漉き元と同様に、襖や障子、壁紙などの各種施工業者とのお付き合いを深めてまいりました。卸売の枠を超え、和の住空間に関する和紙の提案、施工、納品、アフターケアまで、ワンストップでの対応が可能です。さらに、神社仏閣の空間設計や、伝統的な舞台装置や仏画などの重要文化財の修復といった、専門的で困難な案件も承っております。
長年和の文化に携ってきたものとしての矜持を持ち続けながら、和空間全般の駆け込み寺として、少しでも皆様の生活を豊かにできたらと思っております。

住まいからSDGsを考える 日本の伝統的な家屋においては、和紙を中心とする内装材料が使われてきました。和紙は時代を超え、何度でも蘇り、経年変化すら風合いに変えます。
この日本の住まいは、産業やまちづくりの根幹を支えるとともに、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に直接寄与していると考えます。リサイクル可能な資源である和紙を活用することは、廃棄物の削減を可能にし、低炭素社会の形成にもつながります。
また、地産地消を含めた自然素材の活用は地域経済を活性化し、目標8「働きがいも経済成長も」目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」にもつながっていく可能性があります。柏彌紙店では、今後も和紙の活用を推進し、サーキュラーエコノミーへの取り組みを進めてまいります。

製作事例

Production Examples

  • オリジナル金砂子壁紙製作及び施工

    クライアントのお子様の心電図から、壁面のデザインを起こし、金砂子で表現した製作事例です。

  • ランプシェード 01

    京都の竹職人が竹ひごを球体に編み込んだランプシェードに手漉き和紙を張り込み、カスタムバージョンとして制作しました。

  • 愛知県観光施設木造住宅 襖復元工事

    某観光施設に移築された木造住宅の襖復元工事をいたしました。越前手漉き職人により、楮と三椏の繊維で復元された雲花紙、貝殻の粉である胡粉を紙に塗布し、手作業で揉むことで絞をつけたもみ紙を当時の紙をもとに復元しました。

会社概要

Company Profile

会社名 有限会社柏彌紙店
創業 1824年
資本金 1000万円
本社所在地 愛知県名古屋市中区橘1-4-6
代表者 代表取締役社長 尾関良祐
従業員数 4人
事業内容 【取扱品目】
・襖材料:襖紙/襖下地/襖縁/引手/取手
・表具材料
・美術小間紙
・その他和紙全般
・内装材料:壁紙/床材/カーテン/カーペットなど
・内装材副資材
・寺社仏閣修復工事
・一般住宅内装工事など請負工事業務

環境配慮に向けた新商品開発への取り組み

Efforts to develop new environmentally friendly products

和紙の端材に新たな用途を SDGsにつなげる和紙着火剤の開発

【開発商品の特徴】

掛け軸の修復作業で発生する、廃棄/焼却するほかない和紙の端材に、キャンプやアウトドアでの着火剤という新たな用途を持たせました。

「水切り」という技法で繊維を毛羽立たせることで、和紙の特性である繊維が複雑に絡まった点をアピールしながら、和紙の特徴特性を再認知してもらうよう試みております。


原始的な火おこしを「かっこいい」と捉える、趣味趣向の強いニッチニーズ層をユーザーとして仮定しました。この層は、ライターなどの簡易に火をおこせる道具よりも、歴史背景やメッセージ性を持った道具に拘りを持つ傾向が強く、本製品の商品性が受け入れられやすいと考えます。さらに、SNSを含むデジタルメディアをPRに活用することで、掛け軸が持つストーリー性と若年層との接点を創出。和の文化を将来に紡いでいくという狙いもありました。


「火」は原初の照明であり、「火を扱うこと」は文明が発達する最初の要素です。この商品には、「和紙の将来を明るく灯す」というメッセージ性を持たせ、柏彌紙店として和の文化の再発展に貢献する決意を込めました。ユーザーに「特別な火おこし」のストーリーを感じていただければ更なる付加価値を持たすことができると考えております。


【グリーンイノベーションにつながるポイント】


手漉き和紙は、製造過程でのエネルギー消費が低いことが特徴で、更にその端材を可能な限り無駄なく利用しております。しかし、和紙とはいえ、燃やせばCO2の発生は免れません。柏彌紙店では、廃棄焼却ではなく、人の「灯す」という行為に着目しました。

紙がどのように役目を終えるかを考えることで、環境を自分事として捉えるという体験が生まれ、新たな価値の創出につながるのではないかと思います。そして、この商品が持続可能な社会の形成に貢献できるという期待を込めております。


インタビュー

Interview

本事業への参加に至る背景

製造過程でエネルギー消費の低い手漉き和紙は、低炭素社会にフィットする素材でありながら、原料のコウゾを栽培する農家や表具師等の高齢化という現状を踏まえると、その素材自体や活用方法の先行きが懸念されます。そこで、柏彌紙店は、若い世代にその魅力を伝え、生活に取り入れてもらうきっかけをさまざまな場面で作り、活性化を図る必要があると感じ、新たな方法で商品開発ができないものかと思い参加しました。


参加しての所見や感想

本事業を通じサーキュラーエコノミーにつながる新たな取り組みを行うことで、自社事業の重要性と意義を改めて感じました。事業では、柏彌紙店の持つ表具師などの和紙加工を専門とする職人のネットワークを活用し、リユース素材の安定した供給ラインの形成からはじめました。趣味趣向の強いニッチニーズに向けた、障子紙や襖紙といった和紙の端材を再利用した着火剤の商品開発を行うことで、特化した層へのブランド訴求を意識した開発につなげることができました。また、PRSNS等のデジタルメディアを軸に、若年層との接点の創出を目指しました。


会社からの今後の提案

これまでに柏彌紙店は、和紙という素材を生産農家から加工を行う職人、住宅メーカーへとつなぎ、顧客の難しい困りごとにも対応できるよう日々研鑽を積んできました。しかしながら、和紙に対する需要は減退の一途を辿っています。そういった課題を踏まえ、今後は、一卸売としてだけではなく、当地域の和紙生産者や表具師などの職人それぞれが事業を継続し、後継者を育成できる仕組みづくりをプロデュースする牽引企業として、業界全体を俯瞰しながら励んでいきたいと思います。消費者に和紙が環境負荷の少ない素材であることを、しっかりアピールし、低炭素社会の生活にマッチした道具を開発することで需要を喚起し、和の文化を次世代へ繋げていきたいと考えています。