環境配慮に向けた新商品開発への取り組み
Efforts to develop new environmentally friendly products和紙の端材に新たな用途を SDGsにつなげる和紙着火剤の開発
【開発商品の特徴】
掛け軸の修復作業で発生する、廃棄/焼却するほかない和紙の端材に、キャンプやアウトドアでの着火剤という新たな用途を持たせました。
「水切り」という技法で繊維を毛羽立たせることで、和紙の特性である繊維が複雑に絡まった点をアピールしながら、和紙の特徴特性を再認知してもらうよう試みております。
原始的な火おこしを「かっこいい」と捉える、趣味趣向の強いニッチニーズ層をユーザーとして仮定しました。この層は、ライターなどの簡易に火をおこせる道具よりも、歴史背景やメッセージ性を持った道具に拘りを持つ傾向が強く、本製品の商品性が受け入れられやすいと考えます。さらに、SNSを含むデジタルメディアをPRに活用することで、掛け軸が持つストーリー性と若年層との接点を創出。和の文化を将来に紡いでいくという狙いもありました。
「火」は原初の照明であり、「火を扱うこと」は文明が発達する最初の要素です。この商品には、「和紙の将来を明るく灯す」というメッセージ性を持たせ、柏彌紙店として和の文化の再発展に貢献する決意を込めました。ユーザーに「特別な火おこし」のストーリーを感じていただければ更なる付加価値を持たすことができると考えております。
【グリーンイノベーションにつながるポイント】
手漉き和紙は、製造過程でのエネルギー消費が低いことが特徴で、更にその端材を可能な限り無駄なく利用しております。しかし、和紙とはいえ、燃やせばCO2の発生は免れません。柏彌紙店では、廃棄焼却ではなく、人の「灯す」という行為に着目しました。
紙がどのように役目を終えるかを考えることで、環境を自分事として捉えるという体験が生まれ、新たな価値の創出につながるのではないかと思います。そして、この商品が持続可能な社会の形成に貢献できるという期待を込めております。